鳳凰三山

花の北岳へ

  薬師岳&富士山  

 

青木鉱泉

 

川沿コース

 

04年8月11日、寒くて眠れない真夏の夜を体験しました。

我家の出発は6時、中央高速相模湖ICには6時半頃に入ったと思われる。そこから青木鉱泉に着き、鳳凰小屋キャンプ場に向ったのは9時でした。

最初の選択肢は『山側登山道』と『川添登山道』でした。

ドンドコ沢登山道が有名ですので、もちろん川添コースを選びました。しかし、小さなアップダウンが続きます。でも、やわな身体にはいきなり急坂に向うよりズーと良い様に思われます。

 

 

最初の休憩

 

九十九折の登り

 

最初の休憩は登ってから凡そ30分の沢沿いでした。相棒のTさんが差し出したレモン味のキャンデーをしゃぶって、暫しくつろぎました。

この先からは九十九折の山道でした。山側コースとは、ここの登り口で合流です。また、ここには花が手向けてありました。なにかの物語がある場所なのでしょう。

 
 

 

フシグロセンノウ、バイケイソウ

 

枯れた竹、苔むした岩

 

青木山荘には朱赤色のフシグロセンノウが迎えてくれました。そして、その花が目立たないほどに色々な花が咲いている。上り続けるとソバナ、黄色いタマガワホトトギス、ホタルブクロがみらる。

このルートは花のルートである。檜洞丸で見たバイケイソウの花は寂しそうだったが、ここでは茎一杯に咲いた花ビラと、所々に群生し賑やかだった。

最初の滝(南精進滝)に着いたと思った。”予定時間より20分早い1時間半で歩けた”と思った。

 

レンゲショウマ

ソバナと二つ目の滝

 
 

翌日も一緒になった二人の方々とここで合った。少し手前のところで苔がむしてその上にソバナの花が咲いていた。

11時にまた右に滝が見えて、登山者達が数人休んでいた。(写真右)ここが”鳳凰の滝”かと思った。

 
 

  

南精進滝、シナノナデシコ

 
  全てが違っていた。11時10分、大きな石の上にリュックが置いてあり、そこの標に”南精進滝”と書かれていた。  
 

 

南精進滝の標識

 
 

Tさんと私はリュックを置いて滝見物に向った。滑り易い大きな岩をよじ登り、”オーッ”と声を上げた。落差の大きい雄大な滝が目の前に存在した。

また、赤いシナノナデシコが崖に咲いていた。私が一通り眺め終わるとTさんが岩を登って来た。夫々の構図で写真を撮り、滑ると20m位下まで落ちてしまう岩を注意して下りた。

 
 

  

鳳凰の滝、ミヤマシシウド

 
 

ここの手前からTさんの不調は始まっていた。11時20分道標の先を進んだが、急坂でTさんが直ぐに『休みましょう』と言った。彼にとってテントを入れたリュックは始めてで 重かったようだ。休んだ場所にクサギが赤い実をつけていた。11時40分、沢の音が聞こえた。

それでも何とか進んだが、次の鳳凰の滝の道標の所で、彼は待っていると言い出した。折角来たのだからと私は滝めぐりを選択し一人で登った。滝は途中までしか行けず、南精進滝の方が真近に見えた分雄大だった。凡そ15分位でTさんが待つところまで下った。

 
 

 

更に急坂になった

 

白糸滝

 
 

ところがである、先ほどの場所から50mも登ったところに鳳凰の滝の道標がまたあった。分かっていれば最初からここにリュックを下ろし、 登り下りの少ない場所から鳳凰の滝に行きたかった。そして道は更に急坂になった。南精進の滝から1時間も掛っているが、殆ど距離は進んでいない。

このままのペースだと山小屋(キャンプ場)に着くのは18時を過ぎてテント設営も思うに任せられなくなってしまう。白糸滝での昼食を諦めて、登りの途中で食べた。そして、Tさんの テントとシュラフを私のリュックに詰め込んで先を急いだ。それが良かったのかTさんの休む回数が減ってきた。

 
 

五色滝

唐松林

 
 

14時、凡そ3時間掛って白糸滝に到着した。標準時間が1時間半なのでその倍掛ってしまった。滝見物の30分を除いてもこの時間は予想以上だった。そして、1時間近く歩くとまたまた道標で五色滝と書かれていた 。荷物を置いて一人で登り滝を眺めてきた。元の道に戻りTさんと登ると 、先ほど一人で滝見物したその直ぐ上に登山道があった。全く迷わせ・無駄な移動をさせる道標である。

そして、余裕の出てきたTさんに花の名前を聞かれた。何かの花びらと思わせる小さな三角形で、よく見ないと花弁は見えなかった。(後日、本で調べてセリバシオガマと分かった)

15時10分、五色滝に到着。ここまでは略標準時間通りだった。その先を少し行くと唐松林が広がり、右にそびえてた稜線が登って来た道と一つになった。小屋はもう近いと思 った。そして、小屋の冷えたビールを飲むことを想像した。

 
 

 

観音岳と分岐の道標

 

キャンプ場

 
 

左には観音岳が見えた。暫く行くと沢沿いの道が続いた。そして写真右の白い道標である。矢印は左右にあるが文字が消えている。どちらが小屋か分からない。

二人で地図を睨み、右と決めて歩き始めて標をもう一度見ると、陽に焼けていない部分に『鳳凰小屋』の文字が薄く浮かんでいた。右ルートを進み暫く行くと小屋に出た。ビールを注文して喉を潤した。

 
 

ヤナギラン

小屋のお手伝いの女性に花の名前を聞いた。その方は洗い場の先まで案内し、『花火のように広がった白い花の名前はミヤマシシウド』と教えてくれた。枯れると赤くなると言い、そのゆび指す先にはイメージが違う 赤いミヤマシシウドがあった。『枯れた花も綺麗ですね』と言ったが、『私はこの花は嫌い』とそしてここの小屋へも最近来た事を話された。 私は”花火のような”の表現で赤いシシウドが気に入った。 ビールを飲みながら手を見ると傷が何箇所か付いていた。滝を見る際に岩を登ったり避けたりで石英の尖った角で擦ったようだ。

 
 

 

地蔵岳稜線と大菩薩岳?

 

白い砂の登山道

 
 

さて、テント設営でもトラブルがあった。Tさんの持ってきたのは山岳用ではなかった。なかなか設営ができなかった。そして18時に食事を終り、夫々のテントに入りシュラフに潜った。Tさんは夏用シュラフ、私は夏用を持っていないのでシュラフカバーとシュラフシーツ に入り込んだ。夏はこれで十分と考えていた。

しかし、標高2400mは甘くは無かった。夜が深まると共に段々と冷えてきた。冬山と同じく、シュラフカバーに触れるところから熱が奪われていく。凍る程ではないが、5度前後まで気温は下がっていた。午前2時からは寒くて一睡も出来なくなった。隣のテントでTさんのいびきが聞こえる。3時に外に出ると満天の星が輝いていた。

 
 

 

オベリスクと観音岳稜線

 

地蔵岳稜線先の雲海

 
 

午前4時に食事の準備に掛る。テント撤収などで出発は5時30分頃になってしまった。当然朝焼けの時間は過ぎていた。

キャンプ場から左上に入り唐松林の中を歩く。40分も登ると白い砂の道に出た。その道の先には地蔵仏(オベリスク)が見える。

 
 

オベリスクとシナノナデシコ

 
 

 

甲斐駒ケ岳

 

賽の河原

 
 

直ぐ近くに見えたオベリスクも砂で足が取られなかなか進まない。更に写真を撮るので益々時間が掛ってしまった。6時50分、オベリスク下に到着。オベリスクに登ろうと思った。

最初の岩は何とかステップとロープで登ったが最後の岩はロープを頼りに腕力で登らざるを得なかった。途中で下りる際の危険が想像できたので諦めた。大岩の下は人の通れるスペースがあった。

 
 

 

地蔵岳と北岳

 

赤抜沢ノ頭

 
 

ここでコーヒーを飲もうと、Tさんにお湯を沸かしてもらおうと思ったが、賽の河原にリュックを置いてきたTさん。そのほうが確かに楽だった。ここでも道標がなかった。

赤抜沢ノ頭に登り、そこでコーヒーを飲もうとした。水の準備をし、500mlのペットボトルがない事に気が付いた。写真に夢中になり落としてしまったようだ。予備の水を使い2人分のコーヒーを作った。

 
 

八ヶ岳と地蔵岳

 
 

 

赤抜沢ノ頭と観音岳尾根

 

頂越しの富士山

 
 

コーヒーを味わっていると、直ぐに飲んでしまったTさんは立上りリュックを背負い始めた。思わず『まだ飲んでいるよ』と声を掛けた。何故だか歩きたくて仕方ないTさんなのである。

会社等の気遣いが嘘のように、Tさんは歩く事だけに集中している。それともこれからの登りが不安だったのかもしれない。残り少なくなった水を心配しながら三山最高峰の観音岳(2840m)に向った。

 
 

観音岳尾根の途中

 
 

 

観音岳尾根

観音岳頂上で北岳を見る

 
 

赤抜沢ノ頭の下りは大きな岩の間を潜り抜け、砂で滑りやすくなった石の上を注意深く歩いた。

ここの尾根は観音岳から来る人たちが多かった。薬師岳方面から登るのが一般的なルートのように思え る。

 
 

観音岳頂上から

 
 

 

薬師岳の先に富士山

 

薬師岳への道

 
 

登りになると身体が重かった。直ぐに息が上がった。それでも北岳が段々と右手に現れ間ノ岳、中白根山が良く見えた。

観音岳では360度の展望を楽しんだ。紅葉の時期に、またここにやって来たくなった。

 
 

薬師岳山頂付近&ナナカマド

 
 

 

薬師岳山頂

 

薬師岳と下山に見つけた色鮮やかな草

 

薬師岳頂上に着いて昨日購入したビールを分けて乾杯した。少し温かくなっていたが喉が渇いていたので一気に飲んだ。これから先、水は100ml位しか手持ちがない。薬師小屋の場所が分からずこのまま下山しようかとも思った。

しかし、辺りを見回すと砂払山との中間に屋根があるのをTさんが見つけた。あれ位の距離であれば今の二人の体力でも往復可能と判断した。(片道7分)入ると早速にTさんがビールを注文した。私も連られて購入。

 

 

唐松林と途中の大岩

 

御座石と笹の群生

 
 

ビールを飲んで頂上の砂の上で横になり最高の気分を味わっていると、Tさんが下山しようと言い出した。あと3分程横にさせてくれと言って目をつぶる。すると、いびきが聞こえてきた。Tさんが眠っている。その寝付きの速さにビックリ。また、3分後に直ぐ起きてきた。

結局体力が無くて薬師岳では殆ど何も見ないで10時50分に下山を開始した。唐松林を20分ほど下ると写真左の大岩があったそこからは砂払岳と薬師岳 が良く見えた。下るのも難儀な急坂が続く。更に35分下ると御座石があった。今にも倒れそうな大石であった。

 
 

左砂払岳、右薬師岳

 
 

 

ヤナギランと竹

 

青木鉱泉への道標

 

12時40分、標高が2000mになってやっと道が緩やかになった。熊笹が一面に茂っている。一部にヤナギランが咲いていた。薬師小屋の案内があり『ここから2時間半、電話を下さい』と電話番号が書いてあった。下るのもそんなに時間が変わらなかった。

それから40分下ったら、下草が竹に代わった。更に10分下ると青木鉱泉の看板があった。ここでも残りの距離は書いてない。更に30分、マルバタケブキが咲いていた。しかし、なかなか林道にでない。疲れきったTさんが道を間違えたのではないかと言い出した。

 

お疲れ様

 

先頭を替わり私が早足で下り始めて直ぐに林道が見えた。14時半、林道に到着。5分ほど砂防の上で休み、それから30分歩いてやっと青木鉱泉に到着した。

道標に悩まされ続けた鳳凰三山の旅が終った。

そしてシュラフ(寝袋)の仕様であるが、3年前の夏に冬用を持参し暑かったのと大きかったので今回はシュラフカバーとシーツだけにした。しかし、寒かった。ところ が夏用のシュラフ(表示上 氷点下0度まで可)とシュラフカバー、シーツを持参したTさん。彼も”寒くて寝れなかった?”と話していた。テントの不備で風が入り込んだのが理由らしい。 少し無理をしてでも3シーズン用で-10度程度のものを準備したい。

<交通>  

中央自動車道を韮崎ICで下りて国道20号線を下り、上円井の先の宮脇の信号を左折、道なりに進んで行くと川沿いに上流に進む。左折後凡そ30分(10km)で青木鉱泉に到着する。

<コンビニ>

中央を下りて数件のコンビニがある。しかし、今回は高速道路のサービスエリア内の売店を利用した。おにぎりもあれば地元のお土産(オカズ)も購入できるので便利である。

<時間>

青木鉱泉〜40分〜山沿い合流点〜1時間40分〜南精進滝〜1時間〜鳳凰の滝〜1時間40分〜白糸滝〜1時間10分〜五色滝〜1時間〜キャンプ場(計 7時間10分)

鳳凰小屋〜40分〜白い砂の道〜40分〜地蔵岳〜10分〜赤抜沢ノ頭〜25分〜鞍部〜1時間〜観音岳〜40分〜薬師岳(計 2時間35分)

薬師岳〜20分〜大石〜35分〜御座石〜55分〜熊笹と唐松(高度2000m)〜50分〜青木鉱泉看板〜50分〜林道〜30分〜青木鉱泉(計 4時間)

車の場合、青木鉱泉からのルートは三山を回り元の場所に戻れるので便利と判断して利用しました。

<費用>

 

高速料金(相模湖〜韮崎 79KM)

2200円 * 2(往復) = 4400円

燃料代(120km)

130円*(120km/8km・L)* 2(往復)= 3900円

駐車料金 1500円 幕営代 500円

ビール  600円*4缶  2400円

昼食代  600円*2回  1200円

 

<風呂>

 

青木鉱泉、4〜5人位が一度に入浴可能